| 性的奴隷制/人身売買:よくある質問と答え
人身売買とは何ですか?
毎年320億ドルの産業である人身売買は、人々を就労の目的で移送したり売買したりする奴隷制の一種です。国連によれば、世界中の約2,500万人の人々が、いつの時点でも人身売買の罠に陥っているとのことです。
人身売買はあらゆる境遇の人々に影響を与え、あらゆる目的のために、人々は売買されます。男性は重労働の仕事に売られることが多く、児童は、繊維業、農業、漁業の労働に売られることがよくあります。女性と女児は通常、売春その他の性的搾取といった、商業的性産業に売られていきます。
全ての奴隷は売買されているわけではありませんが、人身売買の被害者は全て奴隷制の被害者です。人身売買は、特に、残忍な種類の奴隷制です。なぜなら、それは被害者を、馴れ親しんでいるもののすべてから離してしまい、完全に孤立させ、言葉も通じない環境に置くからです。
性的奴隷制/人身売買とは何ですか?
性的人身売買または奴隷制は、商業的な性的搾取のために女性と児童を国内で、または国境を越えて、移送することです。商業的な性的搾取に含まれるのは、女性と女児のポルノグラフィー、売春、性的人身売買で、物品やお金との交換で人間を搾取することによって特徴づけられています。毎年、60万から80万人の女性と児童が国境を越えて移送されており、それに加えて更に国内で移送されている女性と女児たちがいます。
路上での売春のように、よく目立つ性的人身売買もありますが、多くの人身売買は、それと分からないような地域(時には、郊外の地域の場合もあります)の人目につかない売春宿で営業されています。性的人身売買業者は更に、マッサージ・サロン、温泉、ストリップ・クラブなどの公共の場や民家などのさまざまな場所でも営業されています。
性的人身売買の被害者のち大多数が、成人の女性で占められており、その次に続くのが女児と児童です。僅かですが、男性と男児も性産業に人身売買されています。
人身売買の移送パターンは、東洋から西洋に向かう傾向がありますが、女性たちはいつでも、どの国からどの国にでも移送される可能性があり、人身売買の被害者はどこにでもいます。最も貧しく不安定な国々の多くにおいて、人身売買の発生率が最も高くなっており、極貧が、人身売買の被害者の共通項となっています。経済的な別の選択肢がない所では、女性と女児が性的隷属状態に誘い込まれたり強制されたりする可能性が高くなります。失業率が増え、安定した仕事がなくなったことにより、女性の所得と経済的地位が損われました。男女間の賃金格差が、また、パートタイムやインフォーマルな仕事において女性が増えていることが、低賃金の仕事や、長期的失業状態の中に女性たちを追い込み、それが女性たちを人身売買業者に対して弱い立場に置いています。
「国連の薬物犯罪事務所(UNDC)」によれば、タイ、中国、ナイジェリア、アルバニア、ブルガリア、ベラルーシ、モルドヴァ、ウクライナが、人身売買される人々を最も多く送りだしている国だということです。またUNODCは、人身売買された女性と女児が送り込まれる国々として、タイ、日本、イスラエル、ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリア、米国を挙げています。
誰が女性と女児の売買を行なっているのですか?
主として犯罪組織が、人身売買の原因となっています。性的人身売買(更に、それと関連する要素、誘拐、レイプ、売春、身体的虐待など)は世界中のほとんど全ての国々で不法とされています。それでも、広範囲に広がっている腐敗と貪欲さが、性的人身売買が速やかに、たやすく広まっていくことを可能にしています。国家的および国際的組織が人身売買を規制しそれを禁じる法律を守らせようとしても、地元の政府や警察が実際には性的人身売買者の集団に関わっているという場合があります。
人身売買業者はなぜ、人身売買をするのでしょうか? それは、性的人身売買は、大変儲かる産業であるからです。特に、教育や合法的雇用の機会が限られている地域ではそうです。「国連薬物犯罪事務所(UNODC)」によれば、人身売買業者の大部分はアジア出身であり、その次がヨーロッパの中央部および南東部です。女性と女児の性的人身売買に関わっている犯罪グループは、しばしば薬物や武器の越境移送に関わっており、自らの活動を実行するための手段として頻繁に暴力を用います。
人身売買の急増の最も重要な要因は、女性と女児の命は消費してかまわないものだという根本的考え方です。女性と女児が過小評価されていたり、大切にされていない社会では、女性たちは虐待されたり、人身売買されたり、性的奴隷制に強制的に引き込まれたりする危険がずっと高くなっています。もしも女性がよりよい経済的および社会的地位を経験していたなら、人身売買は大部分根絶されることでしょう。
どのようにして女性が売買されるのですか?
女性と女児は、数々の方法によって性的人身売買に引き込まれます。店員やウェイトレスなどといった正当で合法的な仕事のオファーで誘い出される場合もあります。その他の場合は、結婚、教育の機会、より良い生活を約束されます。更には、ボーイフレンド、友達、隣人によって、あるいは親にさえも、人身売買に売られてしまうことがあります。
人身売買の被害者はしばしば、複数の人身売買業者の間で移送され、自国からどんどん遠くへ移送されてしまいます。女性たちは最終目的地に到達するまで、数カ国を通過することがよくあります。例えば、ウクライナ出身の女性が、トルコの人身売買業者へ売られ、その後、タイの人身売買業者へ送られるというようなことがあります。その過程で、その女性は混乱し、自分の居る場所がわからなくなってしまいます。
通常、ひとたび人身売買業者に預けられたなら、被害者のパスポートや身元書類は取り上げられてしまいます。被害者は連れて行かれたその国に、不法入国していると告げられ、ますます被害者は人身売買業者に依存しなければならなくなります。被害者たちは大抵囚われの身となり、また、借金で束縛されて、斡旋や移送にかかった多大な費用を払い戻すまで人身売買業者から解放されることはありません。多くの被害者は、束縛されている期間に更に罰金や費用を加算されて、それを払いきるまで働かねばならなかったと報告しています。
人身売買された被害者は、徐々に段階を経て酷く扱われるようになり、身体的および心理的責め苦を経験します。しばしば、食事を与えられなかったり、睡眠を妨げられたり、自由に動き回ることができないようにされたり、身体的な拷問を受けたりします。逃げ出そうとしたり、誰かに知らせたりしたならば、彼女たちの家族や子供たちが傷つけられたり、殺されたりすることになると脅かすことによって、女性たちを拘束しておきます。被害者たちは移送されてきた国の文化や言葉がわからないことが多いため、彼女たちは更に心理的ストレスとフラストレーションを経験します。
しばしば、接客の前に、虐待のサイクルの手始めとして、女性たちは人身売買業者自身によって強制的にレイプされることがあります。脱出できなくなるように、薬物で意識を朦朧とさせておかれる女性たちもいます。慣れてきた後は、性的人身売買の被害者は、一日に30人もの男性の接客をさせられ、性病、HIV 感染、望まない妊娠などの危険に晒されます。
人身売買された女性と女児を買うのは誰なのですか?
多くの人々は、人身売買とは「どこか遠くの場所で」起こることだと信じています。けれども、人身売買の消費国の多くは先進国であり、社会のあらゆる階層の男性たちが人身売買産業をサポートしています。「典型的な」顧客として要約できるような一種類の男性像というようなものはありません。人身売買された女性を買った男性は裕福な男性も貧しい男性もいれば、東洋にも西洋にもいます。多くは結婚していて子供もいます。『ニューヨーク・タイムズ』紙で報告されたことがあるように、自分の幼い子供を虐待する代わりに人身売買された女児とセックスをするという男性さえいます。
性的人身売買の急増の一つの原因は、世界の多くの地域で、お金を払って性的接待を買うという行為が不名誉なことだと知覚されることが少なく、売春は被害者のない犯罪と見なされているからです。女性は多くの社会で、文化的および社会的に価値を貶められているため、性的サービスのための女性と女児を買うということにはほとんど葛藤がありません。更に、商業的性産業と、女性と女児の人身売買と非合法的奴隷売買との明瞭な関係について気づいている人々は僅かしかいません。特に西洋の社会では、女性たちは商業的性産業に入ることを自ら選択していると見なされるのが普通です。けれども、性産業の中にいる大部分の女性にとって、また、特に、人身売買されて隷属状態に入ることを強要された女性と女児たちにとって、以上のことは全く事実ではありません。
更に、性的観光事業 - つまり、セックスのための旅行や休暇 - は、女性と女児の性的搾取を奨励し続ける何十億ドルもの産業となっています。多くのセックス・ツアーははっきりと女児を呼び物としているものもあります。それらのツアーは、児童を性的欲求のはけ口とする小児性愛者たちや、処女や女児とセックスをすることが性病を癒すと信じている男性たちのために提供されます。しばしば、これらの男性たちはHIVやその他の性病を幼い被害者たちに感染させ、地域的な性病の流行を引き起こすことになります。
性的人身売買の影響はどんなものですか?
人身売買は、その網の中に閉じ込められてしまっている女性と女児の精神的、感情的、身体的健康に痛ましい影響を与えます。人身売買された女性は、身体的虐待だけでなく、恥、悲嘆、恐れ、不信、自殺願望などを含む極度の感情的ストレスを経験します。被害者はしばしば、心的外傷後ストレス障害を経験し、それと共に、鋭い不安、うつ状態、不眠症などが伴われます。多くの被害者は、その苦痛を麻痺させるために、薬物やアルコールに頼ります。
性的人身売買は、女性と女児を家族と地域社会から離してしまうことによって、社会的崩壊を促します。人身売買は、麻薬や武器、不正資金浄化などといった、多くの他の非合法的組織犯罪を助長します。人材が失われることになり、地元と国家の労働市場に悪影響を及ぼします。性的人身売買は、公的保健システムに負担を加えます。そして、人身売買は政府の権威を侵食し、広範囲の違法行為を奨励し、人口のうちの弱い人々の安全を脅かします。
人身売買を根絶するためにソロプチミストは何を行なっていますか?
地域社会と世界中で女性と女児の生活を向上させている、事業および専門職に携わる女性たちの組織として、ソロプチミストは、人身売買の被害者となる可能性のある女性たちを直接的および間接的に助けるプロジェクトをいくつも実施しています。2007年には、ソロプチミストは、性的人身売買という恐ろしい行為について理解を促進することを目的として主要なキャンペーンを開始しました。ソロプチミスト・クラブ会員は、警察署、女性関係のセンター、病院、法律的援助を提供する組織などで、情報カードを配布しています。更に、この忌まわしい行為を根絶するために行動するよう一般社会に呼びかけています。
更に、ソロプチミストは、被害者と被害者になる可能性のある人々を直接的および間接的に助けるプロジェクトをいくつも実施しています。これらのプロジェクトは、経済な力と独立を達成できるようになるための経済的手段と技能を女性たちに与えることによって、女性と女児に直接的援助を提供しています。
「女性に機会を与える賞」プログラムは、ソロプチミストの主要なプログラムであり、家庭を養っている女性に対して、教育、技能、よりよい就業機会を得る可能性を高めるために必要な援助を提供します。女性が技能習得のための訓練を受けるのを助けることによって、ソロプチミストは、人身売買の被害者や、被害者になる可能性のある女性たちに、よりよい経済的選択肢を与えます。
「女性と女児のためのソロプチミスト・クラブ助成金」プログラムは、女性と女児に恩恵を与える画期的プロジェクトのために助成金を提供しています。多くのクラブが、人身売買の被害者を直接的、間接的に援助するプロジェクトを実施しています。フィリピンのソロプチミスト・クラブは、性的人身売買から逃げ出した、虐待された女性と女児のためのシェルターを支援しています。カリフォルニアのクラブは、「ウェスタン・リージョナル・タスクフォース・オン・ヒューマン・トラフィッキング」を支援する会議を開催しました。そして、シカゴのクラブは、人身売買に関連する教育的行事をいくつか開催しました。
「女性に変化をもたらす賞」プログラムは、女性と女児の生活を向上させるための活動している女性たちを称えます。キャサリン・シアンさんは、最近の受賞者の一人です。2004年に、彼女はアジア・セックス・ツアーを提供している地元の旅行会社に反対する草の根キャンペーンを導きました。彼女はまた、ハワイ州の下院の人身売買公聴会でも証言しました。この公聴会の結果、法令第82条が通過しました。それによれば、「売春のための旅行を推進すること」はC級の重罪と定められています。法令第82条は、現在、他の州の法律の模範となっています。
ソロプチミストの「災害救援基金」は自然災害や戦争行為によって影響を受けた地域に金銭的援助を提供するもので、特に女性と女児への奉仕に特別の注意が向けられています。災害にあった女性と女児はとりわけ、人身売買の被害に陥りやすいものです。
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